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Soly japanese only.
書き物の部屋のイメージ オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
no-imageのバナー 探偵と迷い


     3


 大学でも間もなく新学期となるが、週明けの今日から、誠は勝彦の行動調査を行うことにした。
 早朝から、町田市小川、勝彦の自宅周辺にいた。
「九月一〇日、月曜。
 大学は、まだ夏休み、か。外出したとして、午後からか……」
 秋になったとは言え、まだ入口である。
 残暑も残っている。
 誠はサラリーマン、と言うより、市の職員、あるいは工務店の従業員とも見える服装をしていた。
 手にはクリップボードらしき物を持ち、辺りを見回しては記入している。
 勝彦の家周辺で、どんな人物が行き来しているのか、どんな物があるのか、情報収集も兼ねていた。
 その日、勝彦が外出したのは、夕方一七:〇〇を回った頃。
 誠は遅れて後ろに付き、その道すがらの要所要所を写真に納める。
 JR横浜線の成瀬駅で、八王子方面に乗る。
 その車内で、特に接触する人物はいない。
 一〇分程後。
 勝彦は、駅から繋がったデッキにある、広場のモニュメント前にいた。
──ここで、待ち合わせ、か……。
 ちょうど今時分であれば、屋根のない広場ならではの茜色に染まっていく空も拝める。
 降車したのは、JR町田駅。
 程なくして、友人達と思しき面々が現れ、一人ずつ写真に納めていく。
 一八:〇〇になろうかと言う頃、勝彦等は、周辺のとある居酒屋へと入って行く。
──……やはり飲み会か。大学生は、金があるな。
 そう思いながら、まだ、日中の暑さが残る表を後に、遅れてその店へと入る。
 この日の勝彦は、飲み会が終わると自宅へと帰った。
 翌日。
 勝彦は、午後から外出した。
 今日もまた、町田駅周辺に来ていた。
 ゲームセンターで遊んだ後、ぶらぶらと歩きながら、時折立ち止まっては、ウインドウ内を覗いたりしながら歩く勝彦。
 人通りが少なくなった時……。
──! ……何か。殺気に似た気配を感じたが……。
 一瞬であったため、その方向すら掴めなかった。
 しかし、確かに誠、あるいは勝彦に向けられたような微かな気配を感じた。
 誠は、警戒しつつ、勝彦について行く。
 その後は、そんな微かな気配ですら感じることはなかった。
 水曜日。
 前日とほぼ同じ行動、ゲームセンターで遊んだ後、街をぶらついた。
 特に接触者はいなかった。
 木曜日。
 最寄り駅近くのパチンコ屋で午後を過ごす。
 接触者と言えば、パチンコ屋の店員くらいである。
 金曜日。
 ゲームセンターにも、パチンコにも行かず、町田駅周辺をぶらつくだけであった。
 接触者は、途中寄ったファーストフード店の店員だけである。

     *

「九月一五日、土曜。
 明日で一週間分か……」
 誠は、独りごちながら、勝彦、悦子に、付かず離れず歩いている。
 勝彦は、成瀬駅で待ち合わせした悦子と、ここ、町田駅へと出て来た。
 勝彦がスポーツバッグらしきバッグを持っていたが、今のところ、遠出をする様子はないが、目的地も決めいていないようで、町田駅周辺をぶらついていた。
 とは言え、女性である悦子がいる。
 勝彦は、ウインドウ・ショッピングに付き合って、百貨店やら周辺の店やらを巡っていた。
──世の女性は、こんな事が好きなのだな。
 改めて、感心する誠である。
 と、そんな想いに馳せた自分に対して、薄く笑みをこぼす誠。
──こんな想いが出てくるとは、いつもの調査より気楽であるとは言え……。
 確かに、仕事中に考えることではないかも知れない。
 一三:〇〇を回った頃。
 勝彦と悦子は、少々遅い昼食をファーストフードで済ませ、ゲームセンターへと向かう。
 一頻りデートを満喫した後の一七:〇〇頃。
 ここまでの接触者は、立ち寄った店の店員、ゲームセンターで対戦した相手だけである。
──家に帰らないのか?
 勝彦と悦子は町田駅で別れ、その際、スポーツバッグが悦子に手渡される。
 十数分後、悦子と別れた勝彦は、小田急相模原駅北口から住宅街の少々寂しい道を歩いていた。
──……さて。コンビニに寄って、今度は何処に行くつもりだ?
 駅から一〇分ほどは歩いたであろうか、とあるアパートへと入って行く。
 勝彦の後、遅れて数人が同じ部屋に入って行く。
──続々と来たか。……ふむ、飲み会の時のメンバーが主だな。とすると、ここは大学の友人が住んでいる、と言うことか。
 全員が揃ったのか、ワイワイがやがやと、声が外に漏れてくる。
 その後も、賑やかな声が時折漏れてくる。
 それは、深夜を超えて続く。
──……徹マン、と言うやつか……。
 そうであるなら出入りはもうないであろうが、念のためにと、目立ちにくい場所から見守ることにした。
縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
おがわ かつひこ
小川 勝彦
西暦1980年 9月10日生まれ。身長/体重:178㎝/60㎏
学年:社会学部 3回生

 小川勝也家長男として生まれる。
 本質的には優しいのだが、その反発として、ムラが多く、喜怒哀楽を激しく表現しすぎる。その為、周りの人を困らせることが多々ある。
 嫌いなものは肉類。好物は、焼き魚。
ささき えつこ
佐々木 悦子
西暦1980年 8月 8日生まれ。身長/体重:160㎝/45㎏/スリーサイズは未定
学年:社会学部 3回生

 佐々木玲児家次女として生まれる。
 気性の激しい、とまではいかない荒さがある反面、優しさもある。また、いわるゆ面倒見の良いところを持っている。
 嫌いなものは焼き魚関係、だが、好物は、刺身。
ふるや まこと
古屋 誠
西暦1966年 9月 6日生まれ。身長/体重:175㎝/65㎏
職業:私立探偵。古屋探偵事務所所長兼探偵長

 古屋本家次男として生まれる。
 それ故か、何事にもマイペースでこなしていく、喜怒哀楽がないわけではないが、怒りについては本来有する性格のためか、激怒したことは今までにない。
 食べ物で好き嫌いはないが、特に好物なのは、カリカリベーコンの目玉焼きである。
小川家
 所在地は、町田市小川。
 閑静な住宅街の一角にあり、父:小川勝也、母:照美、長男:勝彦、長女:美也の4人家族である。
町田市
 東京都の多摩南部に位置付けられている南にせり出した一体で、神奈川県に隣接した市。
 作品年代においても、駅周辺はかなり発展している。
 しかし、駅を離れると田園風景が広がっている。
町田駅
 町田市木曽町にある。私鉄とJRの駅。
 作品年代において、駅周辺はかなり発展している。
成瀬駅
 町田市成瀬にある。JRの駅。
 作品年代において、住宅地の駅と言ったところ。
相模原市
 神奈川県東部にある南北に大きな市であり、東京都町田市と隣接している。
小田急相模原駅
 神奈川県相模原市にある。私鉄の駅。
 作品年代において、住宅地の駅と言ったところ。



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