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Soly japanese only.
書き物の部屋のイメージ オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
イットキマンのバナー イットキマン

     Aパート

 やぁ。みんな元気にしていたかな?
 さて、今回のお話を始めようね。
 とある町のとある場所、えっ? とある町のとある場所じゃ、分からないって?
 それは、これから説明しよう。
 四畳半か、六畳程の部屋と思しき場所で、何やら作業をしている人達がいた。
「おやじさん。こんな感じですかね」
「うむ。そうだな、これで問題はないだろう。
 さて、後はこの仕上げだけだな、ヒロ」
「はい」
 そう、ここは、座部ジューバにある伊知地松太の工場、の地下に鎮座するバーブ、の中にある作業場だったんだね。
 そこで、言わずとしれた松太とヒロが、何かを作っていたんだね。
 ここで解説しておこう。
 第一話で壊された街並みは、やっと復興を終えていた。
 以前も美しい街並みではあったが、機能的な配置を付加することで、整然とした機能美も加わった街並みとなった。
 更に更に、解説済みではあるが、緊急避難用の地下施設も作り上げており、災害時の避難場所であり第二の街、と言っても良い出来になっていた。
 そして、街の復興を終えた松太達は、片手間となっていた開発に振り向けることができた訳である。
 もう一つあるのだ。
 伊知地機械工場は、以前のままの敷地に、多少グレードアップさせて再建されていた。
 では、何故バーブで作業をしているのか、それは、この後を読んで頂くことにしよう。
 お話の再会である。
「ようし、完成だ」
「やりましたね、おやじさん」
「ビービー。緊急、緊急」
「!
 ビーキュウどうした!」
 松太とヒロの形相にビーキュウは、何故か、即答しないで佇んでいた。
「おい、ビーキュウ。
 黙ったままだと、分からんのだがな?
 何が緊急なんだ?」
「ビービー。
 ……そ、それは」
 二人の緊張感になのか、言い淀むビーキュウ。
 何を言いたいのか。
「それは?」
「ビービー。
 ……お天道様が昇ってます。
 朝です。朝です、よ」
「……あのなぁ〜」
「ビービー。
 この所、ボクの出番がなかった。
 これくらい言わせてくれても……」
 あ、あ〜。
 せ、説明しよう。
 断じて、断じて、忘れていた訳ではない、と。
 単に出番がなかっただけなのである。

 さてさて、少々時間は経って、同じ日のお昼時。
「フン。よこせ」
「うわぁ〜。止めて、止めてくれ〜。
 お、俺の昼飯〜」
 どすどすと、小さなコンビニ袋を一つぶら下げて、歩み去っていく。
 いや、大男であるため、標準サイズである筈のコンビニ袋が小さく見える。
 所変わって。
「おう。
 このパーツ、制御基盤その他諸々は、貰っていくぜ」
「あ、待て」
「何?
 こいつが目にへぇらねぇってのかい?」
「……」
 突きつけた拳銃のような物をしまいながら、逆光を浴び悠然と工場を出て行く細い男。
 工場内部から見えなくなったところで、何故か立ち止まる。
 いや、立ち往生しているようである。
「だぁ〜。奪いすぎたなぁ。重い。
 キリーカも連れてくれば良かった」
 余りにも情けないほどの力不足である。
「でも、ボクちゃんがんばる」
 思い直して、いや、気力を振り絞って、ではあるが、よろよろしながら歩き去っていく。
 今、その工場の主が、勇気を振り絞れば難なく捕まえられたであろう。
 しかし……。
「……こ、怖かったなぁ。
 こ、腰が、抜けてる」
 何ともはや、いやいや、恐怖とはそのように恐ろしいものなのである。
 その後しばらく、主は動けなかったであろう。
 またまた所変わって。
「あ〜ら、お兄さん。
 ちょっと寄ってかない?」
 とある街の繁華街、腰まである金髪をくゆらせ、しなを作って割と若い男に言い寄る女性。
「えへっ」
「これは、なぁ〜に?」
「えへっ。弁当ですよ」
「そうかい。
 それじゃぁ、貰っていくよぉ〜」
 デレデレの男に、そう言い放って奪い去っていく女性。
 女性が去っていった後しばらく、鼻の下を伸ばしきったまま立ち尽くしていたのは言うまでもない。
 この一連の犯人は、誰あろう、ウーバン、セイビー、キリーカの三人。
 ウバンダー一味である。
 食料を奪っているのは相変わらずであるが、今回は、機械部品も奪っているようである。
 また、何やら焦臭い臭いが漂い始めている。
 何かをやろうとしているのか……。
 いや、やることは分かっているのだ、今回は、一体どこに出没するのか……。

 所と時間が変わって、海岸線にある掘っ立て小屋、の外観を持った大きな建物。
 中から、いろんな音が聞こえてくる。
 ちょっと、中を覗いてみよう。
「あ〜。もう。
 だぁれも手伝ってくれないんだもんなぁ」
「セイビー」
「はいはい。来たよ」
「何が来たって?」
「いえ何でもあるんですけど、どうぞ」
「だぁれもって、あたしも入ってるのかい?」
「いえ、とんでもないです、はい」
「そうかい。
 キリーカ。手伝っておやりよ」
「分かった。
 で、何する?」
「もう。分かりましたよ。
 キリーカ。そこの部品もって着いてこい」
「おう」
 説明しよう!
 等々と、いつものごとくの会話をするウバンダー一味。
 どうやら、コッツァバーンの修理をしているようである。
 いやいや、それだけには止まらなかった。
 次元障壁破壊装置の改修おも行っていたのである。
 と、ここで解説しておこう。
 やっとここで、コッツァバーンに付随させている装置の名前が決まったようである。
 目出度いことである。
 面目ない。作者談。

 さてさて、今回は時間が経つのが早いのだが、なんと、翌日である。
 時間に追われながらも無事、かどうかは別として、ウバンダー一味は、コッツァバーンを走らせ、ここ、座部ジューバの南の外れに来ていた。
 更に、既に座部ジューバの住宅街の一部は、壊滅させられていた。
 そしてそして、警察やらレスキューやらも出動済みで、救助、救援を始め、コッツァバーンを取り巻くように警察車両の配備も完了していた。
「ちょっとぉ。無事かどうかは別って、どういう意味よ。
 この天才セイビー様にかかれば、万事目出度し、問題はないわよぉ〜」
 ゴイ〜ン。
「このスカポンタン。
 誰と張り合ってるんだよぉ」
「しゅびばしぇ〜ん」
「それにしても、今回は、派手なお出迎えだねぇ」
「そうですね。
 準備万端ってやつですか?」
「それじゃぁなにかい?
 あたし達がここに来るってのを、分かっていたとでも言うのかい?」
「いえ。流石にそれはないと思うんですけどね」
「おい。
 表で何かわめいているぞ」
「何を言ってるんでしょうか。
 聞いてみましょう」
 そう言うや、セイビーはボタンを一つ押す。
「あ〜。あ〜。
 聞こえるか!」
「だぁ〜」
「ボリューム、ボリュームを落とすんだよ」
「あ〜、びっくりした。
 いつの間にか、最大音量になってました」
「いつの間にかじゃなくて、おまえがそうしたんじゃないのかい?」
「あ〜、なんてこと言うんですか、ウーバン様。
 いくらボクちゃんでも、そこまで……」
「小声でも聞こえるように設定したのは、セイビーだ」
「やっぱり。
 このスカ!」
「しゅびばしぇ〜ん」
「そこの大型車両の乗員。いい加減聞きやがれ!
 人が声を張り上げているというのに。
 良いか、もう一度言うぞ!
 その車両は完全に包囲した、速やかに……」
「うるさいですねぇ。
 ちょっと口を閉じて貰いましょ」
 セイビーがボタンを押すと、コッツァバーンの全面からレーザー照射が行われる。
 それは、警察車両の目の前に着弾し、倒壊した家屋の残骸を引火させた。
「うわぁ〜。
 なんてことをするんだ。
 消化、消化を急げ!」
「うはははは。
 思い知ったか」
 ほんの小さい事ながら、勝利でもしたかのような喜びぶりである。
 それほど敗北がつらいのか。
 ほっといてちょうだい。セイビー談。
「たぁしかに。ウバンダー一味の一員としては、小さいことだねぇ」
「あらぁ、それじゃぁまるでボクちゃんが、小さい人間だと言っているみたいですが」
「まぁ、小さいと言うよりは、細い、って所だけどねぇ」
「こけ〜」
「そんなセイビーの話は小さいから良いとして」
「あ〜。なんか傷つくなぁ、ボクちゃん」
「いつまで根に持ってるんだい。それよりセイビー。
 ここは……」
「分かりました。
 そうですよ。
 お懐かしや座部ジューバです」
「てぇことは、今回は、ここに」
「はい。
 この真上に、柔らかい場所があるんですよ」
「ようし。
 早速、次元障壁破壊装置を稼働させるよ」
「イエッ」
「サー」
「まぁ、ウーバン様。珍しくきちんといえましたね」
「一言、多い!」
「しゅびばしぇ〜ん」

 ここで、いきなり説明しよう。
 場面転換がめまぐるしくなっているようだが、しっかり着いてきてくれ。
 健闘を祈る。
 さてさて、気を取り直して、ここはバーブである。
 プルルル。プルルル。
 バーブの内線電話がなる。
「はい。バーブ制御室っす」
「あら。
 ……」
「ヒデっすよ」
「……そうだったわね。
 うちの旦那はいる?」
「えっ?
 そっちで寝てるはずっすが?」
「あらぁ。
 ……そうだったような」
「あいかわらずっすねぇ。
 何かようでもあるっすか?」
「えっ?
 えぇ〜とぉ……」
 この電話の相手は、言わずとしれた定子である。
 しかし、旦那が家にいることも忘れてしまうとは、確実に天然ぼけである。
 いや、天然を通り越しているようにも思われるが、松太が哀れで仕方がない。
 まぁ、そう言うな。松太談。
「……そうそう、テレビのニュースを見てみて」
「はぁ。分かったっす」
──え〜。リモコンは?
「あっ」
 説明せねばなるまい。
 ヒデが思った通り、何故か、いつもリモコンはタカの席にあるのである。
 理由はちゃんとある、ほぼ毎日のように、ここでテレビを見ているのは、タカであるからである。
 さてさて、話を進めよう。
「ニュースっすか。
 もしかしてもしかするっすかね」
 等々と呟きながら、テレビでニュースをサーチするヒデ。
「……以上のように、ここ、座部ジューバ、南の外れでは一大事件が起こっております」
「また、ですか。
 前回も、警察組織ではない人物に吹っ飛ばされていましたが、懲りていない、と言うことですか」
「はい。
 概ねそうだと思われます。
 以上、座部ジューバ警察署前からお伝えしました」
「はい。
 警察署前からのリポートでした。続いて、現場からのリポートです。
 端馬田さん」
「はい。
 走ってバタバタ、会話でバタバタであります、端馬田であります」
「相変わらずのバタバタ振りでなによりです」
 そう話している間も、ばたばたと激しく移動しているため、フレームからはみ出す事しばしば。
 落ち着きが無いだけにも見えるが……。
 断じて違うであります。端馬田リポーター談。
「ごらんいただけますように、復興したばかりの座部ジューバの南の外れの町並みは、再び荒らされたであります。
 そしてであります。あそこをご覧くださいであります。
 見えますでしょうか、このところ騒がせている大型車両が鎮座しているであります」
「はい。
 映像でも確認できます。
 しかし、復興したばかりの座部ジューバに現れるとは、目的は分かりますか?」
 などと伝え始めるとすぐさま。
 ピッピポパッポパ。
 ヒデは内線で松太を呼び出し、ヒロも呼び出す。
 そして、一〇分程後……。
「なんとしたことだ。
 あそこは、前回の被害が無かったとは言え、再びこの町を蹂躙するとは」
「おやじさん」
「うむ。
 バーブ発進だ」
 ここで説明しよう。
 既に、伊知地機械工場が再建されたことはお伝えした通りであり、地表部分は壊滅前と同じように建てられている。
 では、一体どのように発進するのか。
 説明も含めて話を進めよう。
「発進準備完了っす」
「よし。
 では、お披露目といくか」
「了解。
 バーブ、連絡通路に移動」
 バーブのいる床の左右が開いていく。
「下降開始」
 低い唸りを上げるモーター音がすると、ゆっくりとバーブの乗る床が下降を始める。
 そうなのだ、近隣住民と市の許可承諾の元、大深度地下に連絡通路を建設させていたのである。
 そして、その発進口では……。
「この度は、皆様のご協力により、バーブを発進させていただきます。
 危険ですから、白線の外側に待避をお願いします。
 繰り返します。危険ですから、白線の外側に待避をお願いします」
 アナウンスが流れた場所、伊知地機械工場から離れること一・五キロほどにある、緑地公園の中心部。
 コンクリート製の奥行きの長い二階建ての建物があった。
 ぐるりと巡らされた看板には、「伊知地機械工場管制塔by座部ジューバ&住民」と書かれていた。
 その一階のシャッターの上にあるランプが点滅し、サイレンが鳴り響く。
 と、再びアナウンスが流れる。
「南ゲートの公道を展開します。ご注意ください」
 そのアナウンスの後、公園の南側の出入り口に続く舗装路が白線に沿って拡張され、出入り口の一部も地下に潜り込み、拡張される。
 更に、拡張された舗装路に沿って、防音壁に似た壁がせり上がってくる。
 発進ルートが確保される頃、伊知地機械工場管制塔の一階には、バーブの巨体がせり上がっていた。
「発進!」
「了解!」
 バーブの巨体が、建物からゆっくりと出てくる。
 建物から出たところで、後部からエアーを大量に噴射に、加速をつけて公園出口から街へと進んでいく。

 さてさて、時間に追われながらも、バーブが現場に到着する。
 そこは、瓦礫の山とかし、悲惨な状態となっていた。
「なんてことをするんだ」
「酷いっす」
「無惨ですね」
「おやじさん。
 警察が筆談してます。画面に出します」
「何々。
 住民は全員避難完了、警察はもう少し後退して、周辺を封鎖する、か。
 しかし、これは面倒だな、後で、無線の周波数を決めておこう。
 よし。
 攻撃開始だ!」

     Bパート

「セイビー。来たよ。イッカツマンが」
「あ〜。もう、早く覚えてくださいよ。
 イットキマンですよ」
「そんなことはどうでも良いから、さっさと攻撃をおしよ」
「分かりましたよ。
 次元障壁破壊装置、分離。
 あ〜、やっと名前が付きました」
「そういや、切り離しできないんじゃなかったのかい?」
「え〜。そでしたっけ?」
 説明せねばなるまい。
 セイビーはとぼけているようだが、実は前回から分離が可能になっていたのである、のだが、前回は装置を使うことすらできなかったため披露のしようがなかったのである。
 今更という思いがセイビーにあって、とぼけるしかなかったのである。
「ちょっとぉ。よけいな解説入れないでよ。
 ボクちゃんとしても非常に困る、から」
 はぁ。分かりました。
「気を取り直して、いくわよぉ。
 キリーカ、上部兵装からミサイル発射!」
「分かった」
 セイビーは、右へ左へ前へ後ろへ、巧みにコッツァバーンを操り、バーブの攻撃をかわしながら、バーブへの攻撃を行っている。
「あ〜。うわぁ〜。
 な、なんて操縦するんだい。
 酔っちゃうじゃないかぁ」
「あらぁ、ウーバン様、これくらいで酔ってるようじゃ、最新式のジェットコースターに乗れないですよ」
「そ、そうなのかい?
 あたしは乗らないから良いよ」
「そうですか?
 それでも、行きますよぉ。
 それそれ、そぉ〜れ」
 無秩序とも思えるコッツァバーンの攻撃に、バーブは完全に足止めされた。
 一方のバーブからの攻撃を、ひらりひらりとかわすコッツァバーンの足止めはできていない。
 それは、次元障壁破壊装置を分離できたからに他ならない。
 その頃、バーブでは……。
「うわぁ」
「くっ」
「おやじさん。このままじゃぁ」
「分かっておる。
 しかしだな、こうも立て続けに攻撃されたのでは……」
「可動機雷で足止めを」
「あれはなぁ、製作費が嵩むから、今は無い」
「それじゃぁ……」
「あいつらに効くとは思えんが、仕方があるまい。
 上部兵装からミサイル発射、続けて前部レーザー発射」
「了解っす」
 バーブから発射されたミサイルで、コッツァバーンからのミサイルを迎撃するが、全てとまでは行かなかった。
 更に、パルス型のレーザー砲でも迎撃はするが、どうしても全てを撃墜できない。
 残りのミサイルが、近距離に着弾する。
「タカ!」
「全弾を避けるのは無理ですよ」
「何とか避けてくれ」
「俊敏に動ける駆動系じゃないんで、これが限界。
 もう駄目。
 お茶にしましょう」
「タカ……。お前なぁ……」
 緊張感がそがれる松太。
 がんばれ松太!
 くじけてはいけない。
 おほん。
 そうは言っても、コッツァバーンからの攻撃が激しく、攻撃の主導権を奪えず応戦一方となる。
「右側面に被弾!
 上部兵装付近も被弾!
 まだミサイルは撃てますが、このままだと、いつ当たるか」
「むむむ……」
 何とか、コッツァバーンからのミサイルの数を減らしてはいるものの、被弾が増えるバーブ。
 説明、いや、解説しよう。
 松太は悩んでいた。
 このままでは、バーブすら敗北してしまう。
 ウバンダー一味の目的が何にせよ、バーブだけではどうしようもないのもまた、確かなことである。
 そこで、松太が出した結論は……。
「このままでは、走行困難になるな。
 タカ! 後退しつつ、左の住宅街へ」
「分かりました。
 お茶にして……」
 その会話に割って入ったのは、ヒロ。
「おやじさん。被害が増えますよ」
「お茶……」
「言うな!
 ……ヒロ」
「お茶……」
「はい」
「イットキ・ロイスの発進準備をしておく、ここは任せるぞ」
「分かりました。
 何とか、隙を作ります。
 ヒデ、ありったけのミサイルをぶち込んでやれ!」
「了解っす」
「お茶……」
 え〜、会話中の至る所に、”お茶”が入っておりますが、前後関係は特にないことをお断りし、タカの主張であることをお伝えしておきます。
 さて、後退しつつ、無傷の住宅街へ待避するバーブに向け、コッツァバーンの攻撃は執拗に続く。
 一方のウバンダー一味は……。
「あははは。うははは。
 コッツァバーンの、このセイビー様の凄さを、思い知ったかぁ」
「流れ石だねぇ、天才だねぇ。
 今日のセイビーは、違うねぇ」
「そうでしょう。ボクちゃんもがんばってますから」
「おい。そろそろミサイルがなくなるぞ」
「キリーカ、パワーキャノン準備」
「おう」
 ここで、ミサイルの雨霰がやんだバーブでは。
「攻撃がやんだ。
 おやじさん、発進してください」
「分かった。
 イットキ・ロイス、発進!」
「分かりました。イットキ・ロイス発進します」
 バーブの前部ハッチが開いて、ロイスが躍り出る。
 それを察知したコッツァバーンでは……。
「おい。
 イットキ・ロイスが出てきたぞ」
「しゃらくせぇ。
 炸裂弾発射だ、キリーカ」
「おう」
 コッツァバーンの上部から、ミサイルが発射され、ロイスの近くで炸裂し、小型の爆弾が降り注ぐ。
「う、うぉ〜」
「応戦します」
「うむ。バルカン砲掃射だ」
「了解」
 イットキ・ロイスの左側面が展開し、バルカン砲を上空に向け掃射する。
 降り注ぐ炸裂弾が炸裂する前に破壊される。
 それでも、幾つかはイットキ・ロイス周辺に、爆弾を降り注がせている。
「く!
 いつになく激しいな」
「そのようですね」
「何とか、上空から攻撃したいものだな」
「空と陸からですか、効率は良いかもしれませんが、射程圏外に出ないと飛び上がれません」
「それならば、直線道路を使って、フル加速で飛び立て」
「分かりました」
 ロイスは、地図から最も長い道路を割り出し、移動を始める。
 その頃、コッツァバーンでは……。
「おい。ロイスが、別の方向に移動を始めたぞ」
「何?
 うふふふ。ボクちゃん達に恐れをなしたか。
 うはははは」
「な訳ないだろ!」
「そうですね。
 キリーカ、ホーミングミサイル発射」
「おう」
 コッツァバーンの上部兵装から、ホーミングミサイルが発射された。
 迫るミサイル、疾走するイットキ・ロイス。
 ミサイルが着弾し爆発が起こる。
「やったぁ〜」
「……おい。
 ロイスは生きている」
「なんですとぉ」
 お祭り騒ぎも、あっという間にひっくり返されると……。
「こしゃくなイットキマン。
 セイビー、めっちゃくちゃの、ぎったんぎったんに、しておやり」
「まぁ、正しくいえましたね」
「いいから、早くおし」
「はいです。
 キリーカ、多弾頭ミサイル発射」
「おう」
 同じ頃、ロイスでは……。
「危なかったな」
「はい。危機一髪と言うやつでした。
 それはさておき、ミサイル接近中です」
「うむ。小型ミサイルで応戦」
「了解」
 ロイスの左側面が開いて、小型ミサイルが発射される。
 全弾撃墜、とまではいかず、多弾頭の餌食となるロイス。
「うぉ」
「回避します」
 ロイスは左旋回で、その空域を離れる。
 しかし、である。それでは、切り離されている次元障壁破壊装置にはたどり着けない。
「何とか、潜り抜けてあの装置を破壊しなければ、何が起こるか分からんな」
「はい。
 しかし、大型車両も移動できますので、バーブ共々かなり難しい状況です」
「うむ……」

 一方のコッツァバーンでは……。
「ぬははは。
 それそれ。キリーカ、残弾は無視しろぉ」
「い、良いのか?」
「しょうがないねぇ。
 キリーカ、良いよ、やぁっておしまい」
「わ、分かった」
 ホーミングミサイル、炸裂弾、前面レーザーが、雨霰のようにバーブに、ロイスに降り注ぐ。
「いやぁ、これだけぶっぱすと気分が良いですねぇ」
「ストレスの解消してるんじゃない!」
「しゅびばしぇ〜ん」
「……でも、確かに爽快だねぇ。
 邪魔ばっかりするイッカツマンをけちょんけちょんにできるなんて」
「あ、いや、まだけちょんけちょんにはなってませんけど」
「うるさ〜い!
 もう、これだけであたしは、満足だよ」
「そうですか?
 ボクちゃんは、まだ物足りないんですが」
「だぁ〜。贅沢だね、セイビー。
 ほら良く言うじゃないか、二兎追う者は、三兎も得るって」
「それを言うなら、二兎追う者一兎をも得ず、ですけど。
 しかも、今は、二兎も追ってませんけどね」
「しゃ〜らっぷ!
 イットキ・ロイスとバーブ、だっけ?
 両方を撃退しようとしているんだよん」
「正確には、どうでしょう」
「キリーカ。
 おまえもなんかお言いよ」
「俺は、よく分からん」
「つまらない奴らだねぇ」
「あらぁ、それはちょっと聞き捨てなりませんよ。
 ボクちゃんがつまらない?
 この天才セイビー様が、つまらないと、そう言うんですか?」
「分かった。
 悪かったよぉ、ちょっと言い過ぎたよ」
「分かっていただければ良いんですよ。
 ボクちゃんだってがんばってますから」
「俺も、できることをがんばってるぞ」
「そうだねぇ。
 そろそろ止めに行こうかい」
「キリーカ。パワーキャノン再準備だ」
「おう!」

 さてさて、所変わってロイスでは……。
「やはり、正攻法では難しいか……」
「何をお考えですか?」
 とそこへ、バーブからの通信が入る。
「こちらバーブ」
「どうした、ヒロ」
「そろそろ、バーブも走行系統がやばくなってきました。
 回避するだけで手一杯です」
「そうか……」
「おやじさん?」
「……ヒロ。
 万が一の時は、頼むぞ」
「ちょ、ちょっと、おやじさ……」
「ロイス、速度を落として、地上へ降下。
 行くぞ」
「……分かりました」
 イットキマンに指示されたロイスは、速度を落とし、地上へと接近する。
 地上に近づくと、ロイスの上部ハッチが開き、イットキマンが舞う。
「とぉ!」
 ひらりと舞い、衝撃を吸収しながら着地するイットキマン。
「うぉ〜!」
 走り出すイットキマン。
 それを確認したコッツァバーンでは……。
「あらぁ、イットキマンが走っていきますよ。ウーバン様」
「なんだってぇ。阻止するんだよぉ」
「イエッ」
「サー」
 コッツァバーンは攻撃を止めて、一目散に次元障壁破壊装置を目指す。
 走るイットキマン。
 強化スーツを着込んでいるとは言え、元は一介のおじさんである。
 更に、激戦の後である、最初の勢いも次第に衰えていく。
「ロイス。
 バルカン砲、掃射、だ」
「了解しました」
 AIが内蔵されているため、一応は、単独で行動が可能である。
 最終判断は、イットキマンからの指示待ちではあるが、イットキ・キューカンのように攪乱などは可能である。
 ガガガガガ。
「あ〜。
 止まるんだよ、戻るんだよ。セイビー!」
「車は急に止まれない」
 カッ。
 どか〜ん。
 ぼか〜ん。
「わぁ〜」
「次は、帰ってやるからなぁ」
「……」
 次元障壁破壊装置の爆発の衝撃波を至近距離で浴びたコッツァバーンは、お約束により、彼方へ飛んでいく。
 なんだかんだと、今日もイットキマンの勝利に終わったこの戦い。
 しかし、ロイスは軽微ではあったものの、バーブの損傷は激しい。
 次元障壁破壊装置を分離させて見せた、ウバンダー一味。
 果たして、この先、バーブは、イットキマンは、勝利をし続けられるのであろうか。

 解説しよう。
 もうちょっとだけお話は続く。
 さて、戦いの翌日。
 バーブは走行関係の修理のため、座部ジューバの南にいた。
 併せて、壊滅した街の復興も進められていた。
 その中に、指示を出している人物がいた。
「おい。
 それはあっちだ」
「おやじさん。筋肉痛はないですか?」
「あぁ。全くないな。
 あのスーツは完成したな」
「やりましたね」
 あれほど悩まされていたスーツの副作用。
 どうやら、克服できたようである。

 一時の、一時の平和と幸せ守るため。
 イットキマンは、また現れる。
 おせっかいかもしれないが、俺に任せろ、この平和!
 何れまたどこかで、イットキマンは、いつも君のそばにいる。






第五話 完
縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
いちぢ まつた
伊知地 松太
身長/体重:170㎝/70㎏
学年/職業:伊知地機械工場の社長

 仕事では、優しくも厳しい、昔気質の職人と言ったところだが、頑固一徹になりきれないところが、松太の良いところでもあり、仕事上弱みになっている。
 イットキマンで使用したスーツの設計から独自に作り上げ、更に、BABまで作ってしまう、優れた才能の持ち主。
いちぢ ていし
伊知地 定子
身長/体重:160㎝/??㎏
学年/職業:専業主婦

 全てにのんびりしており、彼女の周りではゆったりと時間が流れているかのよう。
 多分、怒ったことはない。松太は、そこに惹かれたのかも知れない。
ヒロ
身長/体重:165㎝/68㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代後半)

 おとぼけな性格もあるが、仕事では常に全力投球している熱血漢。社員の中では、一番まじめ。
 自分で理解していなくても、作業してしまい、物を完成させてしまう、特技がある。
 今回のスーツと、BAB製造にもかなりの部分協力している。
ヒデ
身長/体重:165㎝/55㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代前半)

 常に、言い回しが大げさで、まれに、遠回りな物言いをする男。
 仕事は正確だが、前述の性格があるため、不真面目に見えることが多々ある。損な性格である。
タカ
身長/体重:175㎝/70㎏
学年/職業:松太の工場で働く若手社員(20代後半)

 本人は、ぼける気がないのに、常にぼけをかまし、誘導尋問に弱い、かなりまじめな男。
 いわゆる、いじられキャラである。
イットキマン
 松太が作り上げたスーツを着用した、正義のヒーロー。
 一時だけ現れるヒーローであるところから、松太が、思いつきで名乗った(そう言えば、その辺書いてないですねぇ。)。
ウバンダー一味
 何でもかんでも奪い取っていくところから、付いた名前。奪うんだ〜=ウバンダー(安直すぎ?)。
ウーバン
身長/体重:165㎝/??㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの女ボス

 性格は、シリーズに準拠(う、手抜き)。
セイビー
身長/体重:170㎝/60㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーのメカニック担当

 何でも作ってしまう、すばらしい才能の持ち主。だが、どこか抜けているところもある。
 当初は、違う名前を付ける筈が、語感としてぴったりだったため、コンバートされこの名前になる(いい加減)。
キリーカ
身長/体重:180㎝/75㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの怪力担当(?)

 その怪力を見込まれて、バンバーに雇われた。が、ここまで付き合う予定はなかったはず。
 哀れなキャラ。
ばたばた
端馬田
身長/体重:−㎝/−㎏
学年/職業:レポーター

 あるテレビ局のレポーター。
 いつもバタバタしながら、レポートをしている。
 音声にも入ってしまうほどのバタバタぶりである。
 また、語尾に、「〜であります」が口癖。
ざぶじゅーば
座舞ジューバ
 一戸建て、アパート、低層マンション等々が、乱立する、閑静な住宅街。
 その一角にある、町工場が主人公のいる場所。
アンタッテ
 一戸建て、中層ビル、オフィスビル等々が、乱立する、どちらかと言えばオフィス街。
 主人公の住む隣町。
トーミナー
 大きな船舶用ターミナルもある、活気溢れた町。
 アンタッテから離れた港町。
まーうんてっど
マー雲テッド
 ほぼ通年を通して、登山客や観光客が絶えない山。
 座部ジューバ、アンタッテの北、離れた場所に位置する。
バーブ
BAB=BigAirBan
 伊知地松太が作り上げた、大型のマシンである。
 後部には、伊知地松太の家を格納しているが、屋根が飛び出ている(弱点ですね)。
 その他、前部格納庫に、イットキ・ロイスを搭載する。

●推進力:圧縮エア。●燃料::酸素+水素(燃料電池)。●全長・全高・全幅:40m・10m・7m。●武装:前面にパルス型のレーザー砲●上部に多目的ミサイル・ランチャー。
ダミー個体
 伊知地松太とヒロが、徹夜で作り上げたセンサー砲弾。
 砲弾型で各種センサーを装備して、遠隔地のスキャンを可能とする。
 尚、センサーでスキャンするため、滞空させる必要があるのだが、この滞空には制限時間が存在する。小型であるが故に、短い。
ビーキュウ
 伊知地松太の製品第一号で、全高130cm、胴回り70cmのロボットなのだが、ビービー、緊急! 緊急! とうるさく、結局売り物に出来ず、自分の所で小間使いとして使っているのだが、結構文句を言う。
 用は、性能はすばらしく良いのである。うるさくなければ……。
 使用用途としては、機械の修理、人体などの熱源サーチ、お茶入れ、などなど使えるのだが、持った得ない。
イットキ・ロイス
 伊知地松太とヒロが作り上げた、車型のマシンである。
 ほぼ全てがコンピューター制御され、搭乗者の指示に従いつつ、最適な方法を割り出して行動するようになっている。
 また、音声により、復唱から助言、話し相手までこなす。この時代で考え得る最高の優れたAIコンピューターが搭載されている(松太の中での思い込み、と言う可能性はある)。

●推進力:圧縮エア/ジェットエンジン。●燃料:酸素+水素(燃料電池)/ガソリン。●全長・全高・全幅:5.5m・1.45m・1.5m/8.2m・1.56m・6.42m。●武装:左ドア:バルカン砲●マイクロミサイル・ランチャー/フロント左右にパルス型機銃を六門。下部にはクレーン。
イットキ・キューカン
 ヒロが徹夜で仕上げた、動物型メカ。
 人が搭乗するスペースはなく、ロイスのAIコンピューターの改良型を搭載しているため、自立して行動が可能。
 但し、命令を優先して行動するように、制御がされている。

●推進力:ジェットエンジン。●燃料:ガソリン。●全長・全高・全幅:5.0m・1.0m・7.0m(概ね)。●武装:くちばし。
アバランカー・セカンド
 セイビーが作り上げた、肋をモチーフとした中型のマシン。
 元々、巨大メカとの合体を想定しているため、マシン下部の中心に、接合部を兼ねた背骨がある。
 コックピットは、ほぼ中央にある。
 ホイールを使用することで、エア走行が不可能な場所でも走行が可能。

●推進力:高圧縮エア。ホイール一体型リニアモーター。燃料:酸素+水素(燃料電池)。●全長・全高・全幅:9m・1.8m・2.7m。●武装:後部にパワーキャノン●上部に多目的ミサイル・ランチャー。
コッツァバーン
 セイビーが、アバランカー・セカンドをベースに作り上げた、骨盤をモチーフとした大型マシン。
 コックピットは、ほぼ中央にある。アバランカー・セカンドからの流用である。
 超大径車輪で、スパイクのついた金属製であるため、概ねどんな場所でも走れる。その為、ダンパーを多数使用している。

●推進力:高圧縮エア。ホイール一体型リニアモーター。●燃料:酸素+水素(燃料電池)。●全長:全高・全幅:4m・5m・6m。●武装:後部にエネルギー・ビーム。上部にパラボラ・レーザー。右側にミサイル・ランチャー。上部中央にハッチ、下部中央にハッチ。
ビックリしたゾウ
 セイビーが作った、新種のコックピットメカ。
 ビックリすることがコックピットなどで起こると出てくる。
さめザメ
 セイビーが作った、新種のコックピットメカ。
 悲しいことが起ころうとすると出てくる。



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