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Soly japanese only.
書き物の部屋のイメージ オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
イットキマンのバナー イットキマン
 やぁ。
 本当に久し振りだねぇ。
 あれから二年の……。あ。違いますね。
 気を取り直して。
 アンタッテの事件から、さほど経っていない、とある朝。
 バーブ内の工作場が、使用中のままであることに気が付いた松太が向かう。
「おい! 誰かいるの……」
 そこまで喋ったが言葉を止める。
 その視線の先には……。
 制御室の壁にもたれ掛かり、寝ているヒロがいた。
──まったく。こんな所で寝るとは……。
──何を作っていたんだ?
 寝る前に明かりだけは消したようで、工作場内は真っ暗になっていた。
 まぁ、使わない電気は消しておかないと、お母さんに怒られますからねぇ。
 え〜、それはそれとして。
 松太は、工作場内の明かりを点ける。
 そこにあった物は?
「こ、これは!
 なんだ?」

     *

 早々と所変わって、座部ジューバから離れた港町。
 トーミナー。
「ちょいと、そこのお兄さん」
 と、呼び止められた、Tシャツに、ジーンズ姿の、通りすがりの若いとは言えないが、若くないとも言えない男性。
「おれっちに何かようけ?」
 はて。
 この方はどちらのご出身なのでありましょうか。
「その……」
「ん?」
「荷物を、お寄越し!」
 鮮やかに。
 素早く。
 脱兎のごとく。
 奪い去って行ったのは、何故か、変装した女性だった。

 同じ頃。
「あぁら〜。そこの女子こ……」
「おい。目的が違う」
「あ。も〜。
 全国の女子高生ファンのみなさ〜ん」
「何処に手を振っている。ふざけるのよせ」
 え〜。
 あくまでも、あくまでも。
 漫才コンビではないようですが。
 二人組の内、細い方の男の手に、何やら機械が握られている。
 その機械には、メーターらしき物がついており、時折、ぴくん、ぴくんと動いている。
「う〜ん。こっち? あっち?」
 右に左に機械を向けている。
「どっち〜〜〜!」
「叫ぶ必要があるのか?」
「キリーカ……」
「何だ?」
「ぼくちゃんのスキにさせてくれよ」
 どう見ても、漫才にしか聞こえない会話ではあるが、彼らには、きっと、きっと、いや、多分、そうだと思うのだが。
 意味があるのであろう。
 無いのかも知れないが……。
「良し。こっちだ」
 歩き出す二人。

 またまた、時間が経って、所も変わって。
 今時珍しい、空き地にある掘っ立て小屋。
「まったふ」
 ぱくぱく。
「なんれ」
 ごくん。
「いつもこうなのかねぇ」
 それは、全うに働かないからではないだろうか?
「ん? 何か聞こえた、ような」
 気のせいです。
「あ。
 ま、いいか」
 ぱくぱく。
 ぎぃ〜。
「ふぁれらい?」
「ウーバン様。只い……。
 あ〜。また一人で何か食べてますね。ぼくちゃんにも下さいよ」
 よだれを垂らしながら、ウーバンと呼んだ女性に近付く男。
 ごくん。
「な、何を言っておいいだい。セイビー。
 お前達が、汗を流して働いているのに、あたしがそんなこと……」
 もう一人の男が、ウーバンが食べていたものをひょいと摘み上げる。
 ザー。
「他にはないのか?」
「あ〜。あ〜。キリーカ。一人で食い尽くすなよ。
 ウーバン様? 他にも隠してるんじゃないですか?」
 そう言うや、ウーバンの周りをあさり始めるセイビー。
 ガサガサ。
 ゴソゴソ。
「あ〜! そこだ〜!」
「ど、どこだ〜!」
 セイビーが指している場所は……。
「……セイビー。何処、指さしてるんだ、よ。
 このスカプラ!」
 ごつん。
「……く〜。しゅびばしぇん。
 でも、スカプラ、だなんて、随分久し振り、ですね」
 脱力するウーバン。
 しかし! 次の瞬間には復活している。
「それでぇ、セイビー。辺りはついたのかい?」
「いや、もう。バッチシですよ。
 もう、ほら、この棒になった足を見て下さいよ」
「どれどれ。って、元々こんなもんだろう?」
「あ〜、酷い。いくらやせ形の天才科学者だとはいえ、脹脛くらい……。
 ないですねぇ」
「コケ〜」

     *

 さてさて。
 時は移ろい、日は傾き、何故か、数日が経っていた。
 おなじみのバーブ。
 その制御室。
 プ、プルル、プ、プルル。
 音と共に、通話装置の内線ランプが点滅する。
 スイッチを押す松太。
「どうした、定子」
「あなたぁ。……あらぁ、何だったかしら?」
 説明しよう!
 前話で説明した通り、である。
 ツー。
「おい、定子」
 ツー。
「切ることも無かろうに」
 と、松太が通話を切った、その瞬間!
 プ、プルル、プ、プルル。
 再び音と共に、通話装置が鳴る。
 スイッチを押す松太。
「どうした、定子」
「あなたぁ。……テレビを点けてみてぇ」
「何だ?」
 と訝しみながらも。
「リモコン。リモコン」
 手元にリモコンは見あたらなかった。
 しかし! タカの傍にあった。
「タカ!」
「は?」
「テレビを点けてくれんか?」
 もぐもぐ。
 くちゃくちゃ。
「……ヒデ、頼む」
「ういっす」
 ブン。
「……またまた、先日の大型車両が姿を現し、人々を恐怖に陥れています」
「また、ですか」
「はい。またです」
「先日は、もう一台の大型車両に、吹っ飛ばされてましたが、無事だった、と言うことでしょうか?」
「いえ。同一の車両であるかの確認は、まだ取れていないものと思われます。
 しかし、私が確認できる範囲では、ほぼ同一だと思います」
「警察発表はないと」
「はい。私の元には、届いておりません」
 と言った内容が、報じられていた。
 それを見た一同は……。
「まさか、あいつ等か?」
「そうっすねぇ」
「可能性はあるんじゃないですか? トドメを刺してはいませんから」
「う〜む」
 悩む松太。
 何を悩むのか?
 悩む必要はないように思うのだが。
「それで、何をしているか分かりますか?」
 松太の悩みを余所に、キャスターと、レポーターの会話は続く。
「はい。それについては、まったく分かりかねます。
 先日と同様。一カ所に留まったままです」
「分かりました。また動きがあったら伝えてください。
 現場からの中継をお伝えしました」

     *

 説明しよう!
 ここは、アンタッテから離れた港。
 トーミナー。
 そして。
「あ〜。退屈だねぇ」
「そんなこと言われましても。
 毎度の事ながら、時間がかかるのですよ。ウーバン様」
「分かってるよぉ。
 でも、こう退屈だと、死んじゃうよぉ」
「いつもの事ながら、わがままです事」
 説明せねばなるまい。
 何故、ウバンダー達が暇をもてあましているのか。
 これまた前回と同じだが、高出力には遠く及ばないが、性能の高いパルス式のエネルギーを、岸壁から離れた空間に向け照射しているだけだからである。
 付け加えるならば、これも前回と同じく、短時間で不可能なのもまったく変わらない。
「そう言えばセイビー」
「何ですか?」
「前回と同じ場所はだめなのかい?」
「あ〜。そうですねぇ。
 それでは諸君、説明しよう」
 そう言ったとたん、二枚目に変わるセイビー。
「同じ場所だと」
「同じ場所だと?」
「話の都合上、面白くないからですよ」
「コケ〜」
「とまぁ、それは冗談ですけどね」
「本当のことを、お言い!」
「いや、それはちょっと……」
 代わりに説明せねばならないようだ。
 この世の事象は、いろいろな事が重なり合って起きているのは確かである。
 そうだとするならば、空間であっても同様のことが考えられないであろうか。
 更に、ことが特殊な事象である、同じ条件がそうそう揃うはずもなく、同じ場所であろうとも一度きり、と考えた方が分かりやすいのでは無かろうか。
「いや、そう言うことなんですね」
「てことは何かい? また一週間かかるってことかい?」
「まぁ。そうなるんですよねぇ」
 イットキマンと戦う前に、既に意気消沈する三悪である。
「ヒョウシ、ボウ!」
 ドカン!
 ごわ〜ん。
 意気消沈している最中に、雄叫びを伴って、コッツァバーンが大揺れする。
「ちょちょちょ、っと。何事だい?」
「ちょっと待ってください」
 コッツァバーンのコックピットの中央にあるモニターに、外の様子が映る。
「出たね、ヒッコキマン」
「いや、ですから、イットキマンだって。
 もう、年で……」
 バキッ!
「え〜い。良いから行くよ」
 そう言うや、コッツァバーンから出て行く、ウーバン。
「イエッ」
「サー」
 その後に、キリーカ、慌てるセイビーが続く。
 その頃イットキマンは、イットキ・ロイスの屋根の上に降り立っていた。
「この世の、一時の幸せ護るため。この一時だけが、正義の味方。イットキマン参上!
 ヒョウシ、キッター! うりゃぁ!」
 イットキマンが丸い円盤状の物体を投げる。
「しゃらくせ〜。通用するか!」
 セイビーが、パワーの低いレーザー・ガンを連射する。
 チュイン。
 チュイン。
「あ〜ん。あたし達にも口上を、おさせよぉ」
「ならば。
 ヒョウシ・キッター! ヒョウシ・キッター補助!」
 今度は、丸い円盤状の物体と、続けざまに四角い板状のモノを投げる。
「え〜。ちょ、ちょ……」
 ごい〜ん。
「いた〜」
 ガキーン。
「ふん」
 この攻撃に、あっさり腰が引けるセイビーの傍らで、指を鳴らすキリーカ。
 やる気満々のキリーカを横目に、ウーバンが……。
「え〜い。メカ戦だよ〜」
「イエッ」
「……サー」
 少々不満があるようなキリーカを余所に、ウーバンとセイビーが早々に引き上げる。
「おい! キリーカ」
 セイビーに呼ばれ、渋々コッツァバーンに戻るキリーカ。
 一足早くロイスに戻っていたイットキマンは。
「ロイス、バルカン砲掃射!」
「了解」
 左ドアがスライドして、バルカン方が掃射される。
 ちゅんちゅんちゅん
「セイビー、回避をおしよ」
「いやぁ、それがですねぇ。出来ないんですよ」
「何でだい?」
「はい。今動くにはですね、照射を止めないと、いけないんですよ」
「まさか、それは……」
「はい。そのまさかです」
「こぉの、スカポンタン。何で切り離すようにしてないんだい」
「えぇ。コスト・ダウンですから」
「でも。攻撃くらいは出来るだろう?」
「はいはい。大丈夫ですよ。
 キリーカ。レーザー」
「分かった」
 コッツァバーンの前面下部が開くと、短い砲身が出てくる。
 ここで、説明しよう!
 前回の戦いで、損傷を受けたコッツァバーンを、セイビーが改造していたのである。
 光学兵器のみだが、一部を前面に移していたのである。
 バシュー。
「回避します」
 ロイスが右へ回避するのと同時に、レーザーが通り過ぎる。
「ふう。あっぶなかったっすねぇ。
 ロイス。ミサイル発射!」
 左ドアを開き直し、ランチャーからミサイルが連射される。が、小さい、所謂小型ミサイルよりも更に小型のミサイルである。
 ズガーン。
 ドカーン。
 コッツァバーンの至近距離に命中していく。
「あわあわ。反撃をおし」
「ミサイル発射! ポチッとな」
 コッツァバーンからもミサイルが発射される。
 ロイスの周囲で炸裂する。
「うわぁ」
「イットキマン。大丈夫ですか?」
「あぁ。大丈夫っすよ。損傷は?」
「ありません」
 直撃はない。
 詰まり、命中率はゼロ、と言うことである。
「地上での戦闘は無理っすかねぇ」
「その確率は低いかと思いますが」
「良し! ロイス、バード変形」
 イットキ・ロイスが急加速する。
 コッツァバーン目掛けて……。
「わぁ〜。突っ込んでくるよぉ。何とかおしよぉ」
「もう。しょうがないなぁ。全部行っちゃおうかなぁ」
「何でも良いから、早くおし」
 むぎゅ。
「はい」
 ポチ。
 コッツァバーンから、ミサイルとレーザーが向かってくる。
「危険です。回避します」
「え? 推力足りるっすか?」
「いえ、海上に出てから再噴射します」
「まかせるっす」
 イットキ・ロイスは、迫るミサイル郡を回避しつつ、左側の海上に移動する。
 ズガーン。
 旋回する中、イットキ・ロイスに被弾箇所が出る。
「どうしたっすか?」
「攻撃が追尾してきます」
「なですと!」
 ズガーン。
「このままでは、走行不能になりますので、再回避します」
「分かったっす。左旋回!」
「了解」
 左に旋回したのは、イットキマン事ヒデの選択ミスであった。
 左側に旋回すると言うことは元の位置に戻ることになり、結果、攻撃にさらされる事になる。
 ズガーン。
「うわ。
 ロイス、どうにかならないっすか?」
「誠に申し訳ありません。先ほど計算ミスしました」
「それはいいっすから、なにか有効な策は?」
 ロイスは沈黙した。
 いや、この難解な状況の打開策を計算している。
 果たして……。

     *

 所変わって、バーブ。
「おやじさん!」
「いやぁ。敵ながらあっぱれじゃないか」
 そんな暢気なことを言っていて大丈夫ですかねぇ。
 その間も、イットキ・ロイスの被弾箇所が増えていく。
「おやじさん。あいつを出しましょう」
「何を、出すんだ?」
「徹夜で仕上げた、新メカを」
「あ〜。あれか、役に立つのか?」
「多分、大丈夫だとは思うんですが」
「う〜ん」
「まぁ、確かに懸念はありますが。今回は緊急事態ですし……」
「良し。出すか」
「了解」
 ヒロは、コンソールへ移動する。

 その頃、イットキ・ロイスは。
 何とか、陸地には辿り着いていた。
 しかし、コッツァバーンの執拗な攻撃が続いているため、飛び立つことが出来ないでいた。
 正確には、出ようとすると攻撃が再開される、と言ったところである。
「ロイス。大丈夫っすか?」
「被弾はありますが、走行、変形に問題はありません」
「とは言ってもっすねぇ」
「そうです。陸地のルートでは、被害が出てしまいますし、海上ルートでは、狙い撃ちです。
 今のところ、このロイスを持ってしても、打開策は見あたりません」
 などと、途方に暮れているロイスと、イットキマン。
 キラン。
 陸地側の上空に、何やら光るモノが……。
「おい。レーダーに反応ある」
「どこだい?」
「左上空」
 メイン・パネルに釘付けになる三悪。
「お待たせ、かんちょう〜」
 何やら雄叫びのような声を響かせ、飛来する物体があった。
「鳥だ!」
「飛行機だ! って、それはちょっと不味いんじゃないですか?」
 コーン。
「何か当たったんじゃないかい?」
「でも、モニターには見えませんでしたけど」
「レーダーには反応がある」
「ほらごらん」
「あ〜。もう」
 コーン。
「かんちょう〜」
「ほらぁ。やっぱりなんかいるんだよ。何とかおしよぉ」
「そんなこと言われましてもですね。見えないんですから……。
 あっ! キリーカ。ホーミング・ミサイル」
「分かった」
 説明せねばなるまい。
 セイビーがふと思いついたことではあるのだが、肉眼で見えないからと言って、まったく攻撃が出来ない訳ではない。
 相手が何であれ、レーダーで捕らえられるのだから、自動追尾できるミサイルで攻撃が出来るのである。
 コッツァバーンの上部兵装から、ミサイルが発射される。
 とは言え、その間も、コッツァバーンは、その物体からの攻撃を受けていた。
 もう一度説明、だめ?
 あ、これから説明が入る、そうですか、では。
「ヒデ! 聞こえるか?」
「あ、大丈夫っす。問題ないっす」
「そっちに、イットキ・キューカンを向かわせた。届いているかと思うが?」
「あ、それらしいのが、あいつ等のメカの上で、何かやってるっす」
 そう、先ほどから攻撃をしていたのは、イットキ・キューカンである。
 今も、コッツァバーンの天井をくちばしで突きまくっていた。
 しかし、武器はないんですかねぇ、無いんでしょうねぇ。
「かんちょう」
 と、言っては突き。
「がんばれ、かんちょう〜」
 と、言っては、また突く。
 しかし、誰を応援してるんでしょうか。
「ロイス。今の内に、行けるっすか?」
「そうですね。彼らの気がそがれているようですから、今なら」
「良し。ロイス、バード変形!」
「了解」
 イットキ・ロイスは、一気にジェットエンジンを噴射し、海上へと出て行く。
「ロイスが動いた」
「えっ」
 とキリーカが報告し、ウーバンが驚いている間に、ロイスの変形は完了した。
「ロイス。あの上空に照射している兵器を破壊するっす」
「了解。パルス型レーザーで攻撃します」
 イットキマンの反撃が開始された。
「うわぁ」
「なんだい?」
「イットキマンは、照射している部分を、また狙ってますよ」
「回避するなり、出来ないのかい?」
「もう忘れちゃいましたか? 回避は出来ないと言ったじゃぁありませんか」
「攻撃は出来るだろ?」
「それがですねぇ、上の小うるさいに、上部兵装が壊されました」
「なだってぇ!
 何時の間に、そんなことになってるんだい?」
「いやぁ、いつですかねぇ」

 一方その頃。
 コッツァバーンの上で突いていた、イットキ・キューカンは……。
「かんちょう〜」
 そう叫ぶや、コッツァバーンから飛び立って行く。
 その口調から想像だにしない凄い勢いで、ロイス・バードに追い付き、並ぶ。
「ロイス。イットキ・キューカンと連絡できるか?」
「出来ると思います。少々お待ちを。
 ……繋がりました」
「お初です、かんちょう」
「あ、あぁ。
 キューカンは、あいつ等の、気をそらしてくれるっすか?」
「お任せかんちょう!」
 そう言うなり、飛び去って行く。
 しかし、なんか頼りないように聞こえるのは気のせいだろうか。
「さてロイス。行くっすよ」
「了解」
 ロイス・バードは、旋回しながらレーザー攻撃を繰り返す。
 一方のイットキ・キューカンは、コッツァバーンの目の前を飛びながら、ロイスから気をそいでいた。
「あぁ。も〜。うっとうしいったら」
「キリーカ。イットキマンと変なメカにホーミング・ミサイルだ」
「無理だ。残弾がない」
「それじゃぁ……。あ〜!」
「何だい?」
「ですからね。ほら」
 セイビーが示したのは、温度計であった。
 そこには、後部にある高エネルギー照射装置の温度が急上昇していることを示していた。
 そうなのだ。
 ロイス・バードのパルス型レーザーの攻撃により、照射装置にダメージが加えられ、照射力が低下、結果、前回と同じように……。
「そ、それじゃぁ」
「まぁ、お約束ですし。
 そう言うことになるますねぇ」
 パカッ!
「さめざめ」
 言わずともお分かりと思うが、鮫型のコックピットメカが、泣きながら一言だけ呟いて引っ込む。
 そして……。
 ズガーン!
「うわぁ」
 ドカーン!
 ボカーン!
 コッツァバーンが彼方へと飛んで行く。
「おぼえてらっしゃ〜い」
「つぎこそは、かえるからなぁ〜」
「……」
 ヒュン!
 キラン。
 あっけなく終わった今回の戦い。
 いや、いつも通りである。

 かくして、ウバンダー一味の迷惑な行為を阻止することが出来た。

 一時の、一時の平和と幸せ守るため。
 イットキマンは、また現れる。
 おせっかいかもしれないが、俺に任せろ、この平和!
 何れまたどこかで、イットキマンは、いつも君のそばにいる。






第三話 完
縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
いちぢ まつた
伊知地 松太
身長/体重:170㎝/70㎏
学年/職業:伊知地機械工場の社長

 仕事では、優しくも厳しい、昔気質の職人と言ったところだが、頑固一徹になりきれないところが、松太の良いところでもあり、仕事上弱みになっている。
 イットキマンで使用したスーツの設計から独自に作り上げ、更に、BABまで作ってしまう、優れた才能の持ち主。
いちぢ ていし
伊知地 定子
身長/体重:160㎝/??㎏
学年/職業:専業主婦

 全てにのんびりしており、彼女の周りではゆったりと時間が流れているかのよう。
 多分、怒ったことはない。松太は、そこに惹かれたのかも知れない。
ヒロ
身長/体重:165㎝/68㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代後半)

 おとぼけな性格もあるが、仕事では常に全力投球している熱血漢。社員の中では、一番まじめ。
 自分で理解していなくても、作業してしまい、物を完成させてしまう、特技がある。
 今回のスーツと、BAB製造にもかなりの部分協力している。
ヒデ
身長/体重:165㎝/55㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代前半)

 常に、言い回しが大げさで、まれに、遠回りな物言いをする男。
 仕事は正確だが、前述の性格があるため、不真面目に見えることが多々ある。損な性格である。
タカ
身長/体重:175㎝/70㎏
学年/職業:松太の工場で働く若手社員(20代後半)

 本人は、ぼける気がないのに、常にぼけをかまし、誘導尋問に弱い、かなりまじめな男。
 いわゆる、いじられキャラである。
イットキマン
 松太が作り上げたスーツを着用した、正義のヒーロー。
 一時だけ現れるヒーローであるところから、松太が、思いつきで名乗った(そう言えば、その辺書いてないですねぇ。)。
ウバンダー一味
 何でもかんでも奪い取っていくところから、付いた名前。奪うんだ〜=ウバンダー(安直すぎ?)。
ウーバン
身長/体重:165㎝/??㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの女ボス

 性格は、シリーズに準拠(う、手抜き)。
セイビー
身長/体重:170㎝/60㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーのメカニック担当

 何でも作ってしまう、すばらしい才能の持ち主。だが、どこか抜けているところもある。
 当初は、違う名前を付ける筈が、語感としてぴったりだったため、コンバートされこの名前になる(いい加減)。
キリーカ
身長/体重:180㎝/75㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの怪力担当(?)

 その怪力を見込まれて、バンバーに雇われた。が、ここまで付き合う予定はなかったはず。
 哀れなキャラ。
ざぶじゅーば
座舞ジューバ
 一戸建て、アパート、低層マンション等々が、乱立する、閑静な住宅街。
 その一角にある、町工場が主人公のいる場所。
アンタッテ
 一戸建て、中層ビル、オフィスビル等々が、乱立する、どちらかと言えばオフィス街。
 主人公の住む隣町。
トーミナー
 大きな船舶用ターミナルもある、活気溢れた町。
 アンタッテから離れた港町。
バーブ
BAB=BigAirBan
 伊知地松太が作り上げた、大型のマシンである。
 後部には、伊知地松太の家を格納しているが、屋根が飛び出ている(弱点ですね)。
 その他、前部格納庫に、イットキ・ロイスを搭載する。

●推進力:圧縮エア。●燃料::酸素+水素(燃料電池)。●全長・全高・全幅:40m・10m・7m。●武装:前面にパルス型のレーザー砲●上部に多目的ミサイル・ランチャー。
イットキ・ロイス
 伊知地松太とヒロが作り上げた、車型のマシンである。
 ほぼ全てがコンピューター制御され、搭乗者の指示に従いつつ、最適な方法を割り出して行動するようになっている。
 また、音声により、復唱から助言、話し相手までこなす。この時代で考え得る最高の優れたAIコンピューターが搭載されている(松太の中での思い込み、と言う可能性はある)。

●推進力:圧縮エア/ジェットエンジン。●燃料:酸素+水素(燃料電池)/ガソリン。●全長・全高・全幅:5.5m・1.45m・1.5m/8.2m・1.56m・6.42m。●武装:左ドア:バルカン砲●マイクロミサイル・ランチャー/フロント左右にパルス型機銃を六門。下部にはクレーン。
イットキ・キューカン
 ヒロが徹夜で仕上げた、動物型メカ。
 人が搭乗するスペースはなく、ロイスのAIコンピューターの改良型を搭載しているため、自立して行動が可能。
 但し、命令を優先して行動するように、制御がされている。

●推進力:ジェットエンジン。●燃料:ガソリン。●全長・全高・全幅:5.0m・1.0m・7.0m(概ね)。●武装:くちばし。
コッツァバーン
 セイビーが、アバランカー・セカンドをベースに作り上げた、骨盤をモチーフとした大型マシン。
 コックピットは、ほぼ中央にある。アバランカー・セカンドからの流用である。
 超大径車輪で、スパイクのついた金属製であるため、概ねどんな場所でも走れる。その為、ダンパーを多数使用している。

●推進力:高圧縮エア。ホイール一体型リニアモーター。●燃料:酸素+水素(燃料電池)。●全長:全高・全幅:4m・5m・6m。●武装:後部にエネルギー・ビーム。上部にパラボラ・レーザー。右側にミサイル・ランチャー。上部中央にハッチ、下部中央にハッチ。
さめザメ
 セイビーが作った、新種のコックピットメカ。
 悲しいことが起ころうとすると出てくる。



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