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Soly japanese only.
書き物の部屋のイメージ オリジナルと二次創作を揃えております。拙い文章ですがよろしく(^_^)!
イットキマンのバナー イットキマン
 やぁ。
 みんな元気にしてたかな?
 久し振りだねぇ。
 あぁ、大分おじさん、おばさんになったねぇ。
 おっと、失礼。
 私は、ナレーターのトミータなんだねぇ。

 さて、ここは、地球のどっかの大陸のとある町なんだね。
 とある町じゃぁ、分からないって?
 ごもっとも。
 町の名前は、座舞ジューバ。
 その、町にある一軒の町工場から始まるんだね。
 それじゃぁ、始めよう。

 ガガガガガ
 ガコンガコン
 キーンキーン
「おやじさん! こっち、出来上がったす!」
「おう! 分かった。
 タカ!」
 ここで、説明しよう!
 割り込みはだめだって?
 説明させてくれないかなぁ? これが仕事なんだから。
 さて、気を取り直して。
 “おやじさん”と呼ばれた男、名を「伊知地松太」と言う。
 はい、町工場の社長なんだね。
「タカ! タカ!
 まぁたどっか行きやがったかぁ。しょうがないやつだなぁ。ちょっと目を離すとこれだ。
 ヒデ!」
「なんすかぁ?」
「こいつを、ヒロに渡してくれ」
「いいっすよぉ」
 松太は、何か作っているようだねぇ。
 えっ?
 読んでれば分かるって。
 ごもっとも。
 さて、他に出てきた人物ついて語らないのは、ただ出てきただけだから……。いや、いずれ説明しよう!
「ビービー。緊急! 緊急!」
 またまた、説明せねばなるまい。
 喚き散らしてるのは、松太の記念すべき製品、第一号、だったんだが、うるさすぎて商品にならなかった。
 名は、「ビーキュウ」
 ビービー言って、緊急、緊急が口癖になってしまったため、だが、安直すぎではなかろうか? とは言え、ビーキュウの緊急は、一〇回に五回は当たるのだ、あまり邪険にできない。
「どうした、ビーキュウ。定子が、階段で滑ったか? よく踏みはずすからなぁ」
「違う! 緊急! 大緊急!」
「何が大緊急なんだ?」
「ボクの受信機に、異常な電波が入り込んだ。緊急! 緊急!」
「何?
 また、あれじゃないか? エア・トレーラーの高出力通信。前にもあったろう」
「違う! 高出力通信ではない。バンドが違う。……。従来の通信バンドではない……。緊急! 緊急!」
 松太は、しばし悩んだ挙句。
「ヒロ! 悪いが、ちょっと降りてきてくれないか?」
 降りてくる? そんな高いところで、何してるんでしょうか?。
 って、何か作ってるんですね。
「はい? 今降ります!」
 ガコン
 ウィーン
 ガコン
 プシュー
「おやじさん。何です? ビーキュウが壊れましたか?」
「ビービー。ボク壊れてない。緊急! 緊急!」
「分かってるよ。ログ見るぞ。後ろ向け」
 ヒロは、ビーキュウの後ろのパネルを開ける。
 そう言えば、ビーキュウの形状を説明してませんでした。
 では。
 説明しよう!
 ビーキュウの形状としては、頭から胴体、腰までが四角い形状をしていて、ただ、腕より上の部分は、頭頂部にかけて窄まっている。
 腰から下は、円柱の形状で、左右にシャフトが出ており、三角形にタイヤが配置されている。
 これは、不正地の走破性も考慮した設計である。
 もちろん、通常は、片側で二つづつのタイヤで走行することになる。
 腕は人と同じように肘のある構造。
 手の部分は三本指となっており、そのうちの一本は、伸縮できるようになっている。
 また、頭部は、前後に有機ELのモニターが搭載されている。
 一応、モニターの四隅に高性能CCDカメラが備わっており、場合によっては、全て独立で映像を捉えることができる。
 背中には、ビーキュウの整備用パネルとモニターが備わっている。

 さて、話を進めよう。

 ヒロがビーキュウの背面パネルを開き、その内側にあるタッチパネルを操作する。
 モニターに何やら、数字、数式、記号が、順次表示されていく。
「う〜ん」
「ヒロ。どうだ?」
 松太に聞かれるが、しばらく思案した後、おもむろに口を開く。
「確かに、通常の無線、電波などの周波数帯とは違うようですね」
 ヒロは、まだ何かを考えているようで、考えながら喋っている。
「……。 ! ちょっと待ってください」
 ヒロの指が、タッチパネルの上を流れるように動く。
「ヒデ! 上を波形スキャンしてくれ」
「了解っす」
 ヒデは、工場の操作盤へ走って行き、タッチパネルを幾つか操作する。
 そこへ、どこに行っていたのか、タカと呼ばれる男が入ってくる。
「おやじさん! 大変だぁ〜」
「タカ! ばか者! まぁた、上で菓子食ってたのか!」
 怒る内容が違う気もするが、釣られて……。
「えっ? 知ってたんですか?」
 う〜む。困ったものですねぇ。
 まぁ、ギャグ物だから許されるでしょう。
 タカが、はっとして。
「おやじさん、それどころじゃぁないですよ」
「おう。そうだ! 何が大変なんだ!」
「上で、お茶してたんですが。ふと、外を見ると……」
 割り込んで、説明しよう!(特権!)
 始めは、工場から離れたところで、火災が発生したらしい黒煙が上がっていた。
 タカと松太の奥さんの定子は、茶をすすりながら、火の始末はちゃんとしないといけないね。などと話していたの、だが、しばらくすると、火の手が、二つ、三つ、と次第に増えていくのが、黒煙から分かった。
 延焼かと、消防車の音に気を付けていたのだが、一向に来る気配がない、定子は、見て見ぬ振りも出来ないと、電話したのだが繋がらない。
 そうこうするうちに、火の手がなかった、空地を挟んだ向かいの家から、突然火の手があがった。
 その火の手は、次々と隣家を焼き尽くすことに……。
 しばらくすると、更に、数軒置いた場所から火の手が……。
 一体どうなっているのか?
 タカは、その光景に、慌てふためきながら、地下工場へやってきたのである。
 しかし、松太の奥さんの定子のことは、忘れていた。
「……と、言うわけなんですよ」
「う〜む。面妖な……」
「妖怪とか、幽霊、超常現象っすかねぇ?」
 スキャン操作していた筈のヒデが、後ろから意見を述べる。
 ヒロが、口の端を引きつらせながら……。
「ヒデ。スキャンはどうした?」
「それがっすねぇ」
 人差し指を立てながら、思わせぶりに喋りだす。
「詳細をスキャンしたところ、レーザーと思われる帯域の波形がでたっす。
 しかもっす。波形が乱れてるんで、一定方向じゃないみたいっす。
 更にっすねぇ、出力がでかすぎるんすよ。きっと上は大変なことになってると思うっすよ」
 そんなのんきに喋っていて良いのか!
 ナレーターでも怒るぞ!
「お……」松太が喋ろうとすると……。
「ヒデ! もっと早く報告しろ!」
 ヒロが台詞を横取りして怒鳴る。
「ビービー、緊急! 緊急!」
 全員がビーキュウを見る。
「工場が、工場が、引火した!」
「何!」
 松太は、言ううなり操作盤に走って行き、パネルを操作する。と、ゴーとか、ガコンとか機械の音が工場内に響き渡る。
 どこかで、いや、上の地上の方で何かが起こっているようだ。

 一方、地上に一人取り残されていた、松太の妻の定子は……。
「あら。焦げ臭いはねぇ。お昼は作ってないから、変ねぇ」
 そう言いながら、居間から台所を回り、工場の方へ向かおうとした時……。
 ピピー。ピピー。と言う音と共に、工場へのドアが自動的に閉まり、隔壁の降りる音がする。
「あら、何かしら。何の音かしら?」
 ドアを開けようとするが……。
「あら〜。ドアが開かないわぁ。待ってた方が良いかしらねぇ?」
 そして、家全体が揺れる。
「あら? 今度は地震かしら。やぁねぇ」
 おいおい。

 一方、地下工場では……。
「よし。これで家の方は大丈夫だ。定子も、家の中にいる」
 説明しよう!
 松太の家は、元々は地上だけだったのだが、秘密の地下工場を造るにあたり、自宅をそっくり地下に避難させるエレベータ構造に変えていたのである。
 但し、地割れなどが発生する地震の時に、有効なのか疑問が残るが……。
 「ヒデ! そのレーザーの発信源はどこだ?」
 おお、なんか、ウルトラなんとかとか、ヒーローものの基地みたいな会話ですね。
「ここのじゃぁ、無理っすよぉ」
 確かに、一介の町工場で使っている、いや、そもそもそんな物が、町工場にあること自体不思議と言うか、違法ではないのだろうか?
「そんなこともあろうかと……。ヒロと徹夜で作っておいたのだ」
「えっ?」
 全員がびっくりしている。
 あれ?
「おい、ヒロ。おまえ、何作ってるか気が付かなかったのか?」
「善、善」もとい。
「全然、気が付きませんでした」
 あぁ、この人達は……。
 そんなことで、この町が救えるのか?
 いや、救う気あるのか?
 違います、かねぇ?
「で、おやじさん。どこにあるんですか? その、徹夜で作ったスキャンて……」
 タカが喋りながら、お約束の、ごみ箱の中をあさっている。
「この中にある」
 松太が、指差した物は……。
 今、まさに建造している……。
 車にしてはタイヤがない、航空機にしては翼がない。
 全体の形状は、ミニバン風。
 しかも、グリルとライトらしきものまである。
 屋根に当たる部分には、なんと、かわら屋根が見える……。あ、これは、降ろした家ですね。
 大きさは、全長が四〇m、全高が一〇m、全幅が一四mくらい、ですね。
 待ってください。
 一介の町工場って、こんなに広さあるんでしょうか? 謎です。
 さて、説明している間に、下部のタラップから中に入った一行……。既に、操縦室にいた。
「ヒロ、スキャン開始!」
「はい。でも、ここから出来るんですか?」
 センサー系なのだから、当然その周囲しかスキャンできないのは確かである。
 ヒロが疑問に思うのも無理はない。
 松太は思った、ダミー固体により遠隔地のスキャンをしてしまえばよい、と。
 しかも、打ち出した後、目標地点でスキャンを自動で始め、情報を転送するようにしている。
 更に! 遠隔操作も可能で、スキャン対象の変更や、移動も可能である。
「信じろ!」
「分かりました、遠隔スキャン開始!」
 ズン。ズンと軽い衝撃があり、何かが動いたことを実感させる。
 実は、この時、上部(屋根に当たる部分)装備からダミー固体が発射されたのだ。
 この発射は自動化されており、コンピューターが現在の状況を判断し、障害物がある場合はそれを取り除くこともしている。
 簡単に言えば、障害物に見合った装備を発射後、ダミー固体を発射する。
 簡単に言えば、破壊して通過させる訳だ。
 今回は、小型ミサイルを選択したようで、天井で爆発音の後、破片が降ってくる。
 ゴン、カン、ゴン。
「何すか? この音は?」
「天井を破壊した破片がボディに当たっているんだろう」
 松太は、言いながら上を見てしまう。
 釣られて全員が上を見る。
 上を見ながら「大丈夫ですか?」ヒロが聞く。
「一応、セラミック・チタン合金に、熱処理用のコーティングは施してあるがなぁ」
 答えになっているのか定かでないことを言う。
 突然、ピーピーと、警告音が鳴る。
 ヒロが、パネルを見る。
 スキャン結果が出たらしい。
「な、何なんだ?」
「どうした!」
 松太が駆け寄り(そんな広くないけど)、ヒデ、タカも後から寄って来る。
「空から、レーザーが発せられてます。ですが、その地点には、何も物体はないんですよ」
 スキャン結果をまとめたヒロが、パネルを操作しながら答える。
「空では、何が起こってるんだ、一体……」
「もう少しセンサーを調整して、レーザー発生点に絞って、スキャンしてみます」
「いや、無理だ、ダミー固体の浮遊時間が切れる。自爆させてくれ」
「えっ?」
「一応、最悪なことも想定して、ダミー固体を消去できるようにしてある。
 爆破したら、照準を変更して次を上げてくれ」
「分かりました。爆破します」
 爆破操作を行った後に、次のダミー固体の照準を変更して発射させる。
 ズン。と軽い衝撃の後、ダミー固体が打ち上げられた。
 しばらくして、警告音の後スキャン結果が届く。
「くそ〜〜〜。レーザーの熱が強すぎる。目標を近付けすぎたか?」
 そう呻きながらも、パネルを操作してセンサーを調整していく。
「ヒロ、どうだ?」
「……。はっきりとはしないんですが。
 どうも、発生点付近の磁場、気流、光の屈折率、などからすると、空間に異常があるようです」
「その異常って、SF映画でよく使う、“空間のひずみ”ってやつすか?」
「そうだなぁ、それに近いのかもしれない。
 しかし。現代のセンサーじゃぁ、そんな創造の事象に対応してないからなぁ。正確にそう言える訳じゃない」
 そうなのだ。
 この時代、確かに、未来ではあるが、まだ、完全にSFが現実化していない、御伽噺、架空の話として捉えられている時代である。
 ビービー。また、警告音が発せられる。
「やばい! ダミー固体が限界温度を超えた、崩壊する!」
 言い終わらないうちに、ダミー固体からの情報が途絶える。
 気が付くと、松太が、ヒロの傍らでパネルを操作している。
 右側面のモニターに映像が映し出される。
 問題の地点の拡大映像である。
「地上の工場外部のモニターがまだ生きていた。これで捕らえられる、最大望遠の映像だ」
「何か、方法はないんすか?」
「ない」
 即答で松太が答え、続けて……。
「これは、自然現象では有り得ないと思う。
 多分、人為的なものだろう。が、どういう種類の力を、どのように加えればひずむのか、現代の科学では、まだ答えが出ていない。だから、逆のことも出来ないのだ」
 重苦しい空気が立ち込める。

 あ。いつのまにか、シリアスになってますよ。ギャグ小説で始まったはずなんですが?
 作者の人、注意してください。byトミータ。
 この場合は、シリアス展開でないと、ねぇ。by作者。

 松太は思った。—未完成だが、この後の展開も考えて、これを動かすしかないのか? 趣味みたいな感覚で作ったんだが……。
「ヒロ、ヒデ。やな予感がする。出来る限り、こいつを整備しておこう」
「そうですね、私は、例の物を調整してきます」
「じゃぁ、エンジンを調整して来るっす」
「頼む。
 タカ。ここの最終調整するぞ!」
 しかし、タカは、モニターが気になるようである。
 行きかけたヒデが「ビーキュウ。エンジン調整手伝ってくれっす」
 全員で最終調整を行なう中、空の異変は、徐々に本格化し始めていた。
 そのゆらぎが、次第に広がり、波を打つような状態になると、肉眼でも、おかしいと認識できるようになる。
 そして、その空間から、何かが出てくる。
 けたたましい警報が鳴り響く。
 全員が警報に耳を傾けるが、ヒデ、ヒロ、ビーキュウは、調整作業を続ける。
「……。お、おやじさん! 何か出てきた!」
「何だぁ? 車か?」
 なんと、フロントグリル、ヘッドライトと思しき先端が見えていた。

 さぁって、お立会い。
 今、空間を突き破って出ようとしている物体は、何か!
 その物体に場面を移してみよう!

「セイビー。どうなってるんだい?」
「ウーバン様、座ってるだけじゃぁなく、手伝ってくださいよぉ」
「あたしは、ボスだよ〜。キリーカ、手伝ってお挙げ!」
「……。何、する?」
「く。こ。……、お前は、座ってろ! パネル、触るなよ!」
 一人気張るセイビー。
 何やってるんでしょうかねぇ。
 バシュッ! バチッ! ズン!
 何やら、あちこちで、破裂音がしてますが……。
「でもさぁ、セイビー〜。お前は、すごいよ。ながれいしだね、りゅうせきだねぇ、流石だね。
 あの時、こいつを呼ばなかったら、三人バラバラの上、生きてたかもわかんないからねぇ」
 突然、誉めだすウーバン。
「いやぁ、何ねぇ。当然のことよ。ふっ」
 顔だけが二枚目美形に変化しながら、くさい台詞をはくセイビー。
「でも、ホント。間に合ってよかった。ボクちゃん、間に合わないかと思ったもの」
 世間話をしている間に、物体が、飛び出す。
「フルパワー! 逆噴射ぁ!」
 が、怒鳴る必要はないと思うのは、このトミータだけでしょか?

 一方、松太たちは……。
「?
 !
 おやじさん! 全部出た!」
「何?」
 松太がモニターを覗き込む。
「何だ? やはり車じゃぁなないか」
 松太が、パネルに寄って操作する。
「う〜む。このサイズだと、目見だが、概ね、普通サイズの二〜三倍はありそうだな」
 そこにヒデから、『おやじさん。エンジン調整概ね完了す。後は、動かしながらでも行ける、と、ビーキュウが言ってるっす……。』
「分かった。ビーキュウを残して上がって来てくれ」
 『了解っす!』
「おやじさん! 落下地点計測完了!」
 タカが自発的に仕事をした。
「何?
 ヒロ。そっちはどうだ?」
 『もうちょっとで、動かせます』
 松太は、ニヤリとした。
 と、ぽんとに手を叩いて「定子のこと忘れてた」
 内線をかける。ぴっぴぽぱっぱ。
「あ〜、定子。そのままじっとしていろ、今は、地下のBABに、家を組み込んだからな」
 『はい。』いい返事が返ってきた。
 ここで、いきなり説明しよう!
 BAB=バーブとは、BigAirBanの略で、松太的な読みが付加されていることをお断りする。
 さて、松太が定子と話している間、ヒデが戻ってきた。
「ヒロ以外はいるな。タカ、運転席。ヒデ、装備席を頼む」
 松太の号令で、タカとヒデが、言われた席に着く。
「タカ。第二燃料電池始動」
「第二燃料電池始動」
 松太の指示通り、復唱しながらタカがパネルを操作する。
 そう、今は、BABの電装系、コンピューターなど、走行以外の部分に使用する燃料電池を稼働させていたのである。
 タカが、「エア圧縮コンプレッサー正常稼働。
 エア圧、規定値超えます。
 浮揚可能」
 と、まぁ、この辺で、発進プロセスは終わりにしょましょう。
「オールグリーン。発進準備完了!」
「発進だ!」
 と、言っている頃。空間から出現した車らしき物体は……。
「うはははは」
 セイビーが笑いながらパネルを操作している。
「もう、やけくそだぁ! 手当たり次第に、やっておしまい!」
 セイビーの傍らで、キリーカがパネルを無造作に連打している。
 ミサイルが、レーザーが、辺り構わずぶっ放されている。
 地上は火の海、瓦礫の山と化している。
 そんなところに、バーブが現れる。
 ウーバン達の方は……。
 ピコーン。ピコーン。
「レーダーに、反応あり!」
「何が出てきたんだい? オッコチマンかい?」
 お約束のボケをかますウーバン。
「あぁ〜もぉ〜、やぁねぇこの人は、何時になったら、正しく覚えられるのか、し〜ら。
 オッカケマンでしょ」
 これまた、セイビーがお約束の訂正を入れる。
「ロメオとは、反応が違う。ビートルでもない。もっと大きい」
「新手の敵かい。面白いじゃないか。やっておしまい!」
「イエッ」「サー」とセイビー、キリーカの順で答える。

 一方松太たちは……。 「これは……。酷過ぎる……」
 一面、火の海か、瓦礫の山の惨状を目の辺りにして、松太が言葉すくなに喋る。
「……。タカ、ヒデ。行くぞ。戦闘準備!」
 二人は「おう!」と答えて戦闘モードに切り替える。
 ゴーと言う轟音と共に、バーブが前進する。
 また、ウーバン達も「セイビー頼むよ〜」
「ウーバン。任せな。
 このセイビー様自慢のアバランカー・セカンドで、粉々にしてやるさ」
 と威勢良く、二枚目に変化したセイビーが喋る。
 二台の大型マシンが、走り寄って、戦闘が開始された。
「ヒデ! 多弾頭ミサイル!」
 発射された多弾頭ミサイルは、アバランカー・セカンド上空で炸裂して小型のミサイルを無数に発射する。
 ズガーン。ドカーン。
 アバランカー・セカンドが見えないくらいの広範囲で爆発が起こる。
 その爆煙の中から、アバランカー・セカンドが飛び出してくる。
「うははははは。その程度の攻撃、このアバランカー・セカンドには効かないぜ!
 キリーカ、パワーキャノン!」
 セイビーが御託を並べながら、キリーカに指示を出す。
「おう!」
 アバランカー・セカンドの後上部から、パワーキャノンがせり上がり、砲弾を発射させる。
 ここで、説明しよう!
 パワーキャノンとは、ミサイル型の大砲ではなく、レーザータイプの大砲である。
 但し、発生器からそのまま発射するのではなく、一度、光の反射を利用して蓄えた後、一気に塊として打ち出す大砲である。
「タカ!」
 松太が叫ぶと同時に、タカがパネルを操作して、バーブを右に回避させる。が、砲弾が左側面を舐めていく。
 ジュ、ジュー。ジュー。ジュー。パリパリ。
「左側面が、一部溶解したっす!」
「高レーザー対策はしていない。直撃されたら、お陀仏だぞ!
 ヒロ、まだか!」
 『もうちょっとです』
「……。レーザー掃射!」
 パパパパパパパ。
 タカがそれに合わせて、右方向へスライドさせるようにバーブを動かす。
「可動機雷発射!」
 上部兵装から、多弾頭ミサイルと同じ形のミサイルが発射される。
 アバランカー・セカンドの上空に達すると、炸裂して可動機雷をばら撒く。
 地表から一定の高さでそれは浮遊していた。
 目標を定められた機雷が、アバランカー・セカンドの動きに合わせて移動する。
 そして、触れると爆発する。
「おわ〜」
「なんだい。その辺に浮いてるのは?」
 スキャンしたキリーカが「機雷の類だ。違うのは、こちらの動きに合わせて移動していること、だ」
「じゃぁなにかい? あたしたちが動くと一緒についてきて、爆発するのかい?」
「けっ! そんな物、炸裂弾で一掃してやる!」
 とセイビーが自ら発射させる。
 アバランカー・セカンド後上部から炸裂弾が発射される。
 発射後、炸裂弾が炸裂して超小型ミサイルが降り注ぐ。
 ズガーン。ドカーン。
 轟音と共に、可動機雷が粉砕される。
「なんて連中だ。
 ヒロ、急いでくれ。確実に使うことになりそうだ」
 『分かりました。後、微調整だけですからすぐです』
 場面転換して、アバランカー・セカンド内部……。
「うははははは。見たか! そんなおもちゃ、このアバランカー・セカンドに通じるものか! あはははははは」
 自信に満ちすぎた悪役そのままに、吼えまくるセイビー。
「セイビー。ながれいしだね、りゅうせきだね、さすがだねぇ」
 パカッ。っと、蓋が開いて、一本の棒が伸び、二つに割れ、「豚もおだてりゃ、綱渡る。ブヒッ」
「どうも。
 そんなに誉められちゃぁ。止めを刺しちゃおうかなぁ」
 浮かれまくるセイビー。
「今週の〜、は、なしよ」
「こけっ」
 こけたのは、ウーバンだけだった。
「キリーカ、パワーキャノン連射だ!」
「おう!」
 連射されたパワーキャノンの砲弾が、バーブに向けて飛んで行く。
 バーブは、タカの必死の操縦で、砲弾を一つ二つと避けて行く。
 が、四つ目で避け切れず、左側面をえぐるように掠めていく。
 ドカーン。ズガーン。
 バーブ内部では、けたたましく警報が鳴り響く。
 ヒデが「左側面損傷! 自動消火装置作動!」
 タカが「エア圧低下! バーブ浮揚維持不能!」
「第二燃料電池、機能停止。第三燃料電池へ、自動切換え、で、できないっす!」
 この時点で、バーブは走行不能となる。
 『おやじさん、おおむね整備完了!』
 ヒロから報告が上がる。
「分かった、今から行く。
 さてと、おやじパワー見せてやるか」
 松太は、操縦室を出て小型エレベーターで、一ブロック下へ降りる。
 そこで、ヒロと交代する。
「おやじさん。頼みましたよ」
「任せとけ!」
 松太は、シリンダー形状の部屋に入る。
「スーチャク!」
 松太がその中で叫ぶと、その音声に反応して、現在の最高技術(と、松太は思っている)で作られたアーマードスーツが上から降りてくる。
 そして、前後から挟まれる形で装着される。
 最後に、一緒に降りてきたヘルメットを被り、ゴーグルを降ろし、「よし!」と言って正面から出て行く。
 そこには、一台の車とおぼしきメカがあった。
 但し、車としては、二周りほど大きい。
 松太がそのメカの傍に立つと“プシュー”と言う音と共に、右側のドアが開く、のだが、普通の車と違い、蝶番で開くのではなく、そのまま飛び出すようにスライドする。
 ステップを登って、シートに座ると、再びスライドして、閉まる。
 内部に入ると、松太の座ったシートの位置が固定される。
 そして、電源を入れる。
「私は、ロイスです。指示をお願いします」
「ロイス。イットキ・ロイス、発進だ!」
「了解。ロイス発進します」
 前方の隔壁が上下に分かれて開き、轟音と共に発進していく。

 一方、アバランカー・セカンドでは……。
「さぁて。今度こそ止めを指してやる!」
「ゲートが開いたようだ。何か飛び出した」
「まぁた、ヒョットコマンが出て来たのねぇ」
 イットキ・ロイスが疾走してくる。
 と、律儀に中間点で一旦止まり、屋根の部分が開いて何かがせり上がって来る。
「ほんの一時。されど一時。一時の平和を、乱すやつがいる限り。ささやかな幸せ守るため。一時だけの、イットキマン、ここに、推参!」
 定番の、見え切り口上をするイットキマン。
「ロイス、機銃掃射!」
「了解、機銃掃射します」
 フェンダーに当たる部分、左右から掃射する。
 その隙に、内部に戻るイットキマン。
 ガガガガガガガガガガ。
 アバランカー・セカンドの前方に着弾する。
 チュンチュンチュンチュンチュンチュン
「味な真似を……。どうした? キリーカ!」
「エンジンが不調だ。時間跳躍のダメージだろう」
「くそ〜〜。負荷かけすぎたか! とりあえず、使える武器をぶっ放せ!」
「分かった」
 使えたのは、光学兵器以外だった。
 アバランカー・セカンドは、エンジンパワーを走行に廻して、攻撃は物理兵器のみで応戦した。
 一方、イットキ・ロイスでは……。
「トラブルが出たようだな。
 ロイス、一気にけりをつける。変形! ロイス・バード!」
「了解! バード変形を開始します」
 イットキ・ロイスが変形を始める。
 フロントグリルに当たる部分が左右に割れ、先端が出てくる。
 ボンネット後端が持ち上がり、フロントガラスを覆うように、パネルが出てくる。
 左右に折りたたまれていた、翼が伸び、垂直尾翼も起き上がる。
 そして、リアに格納されていたノズルがせり出して、轟音と共に上空へ飛び上がっていく。
 宙返りして、急降下からの掃射。
 ガガガガガガガガ。
 チュンチュンチュンチュンチュン
 アバランカー・セカンドの至近距離に着弾する。
 急発進するアバランカー・セカンド。
 上空に戻って、再び降下、攻撃するロイス・バード。
 何度か応酬があった後……。
「くそ〜〜。パワーが足りねぇ」
 セイビー叫び、応戦に専念するキリーカ。
「玉切れだ」キリーカが呟く。
 ロイス・バードでは……。
「イットキマン。敵は、玉切れのようです」
「なぶり殺しのような気もするが、散々酷いことをしたんだ。仕方有るまい」
 イットキマンは、喋りながらパネルを操作している。
 ロイス・バード下部が開いて、UFOキャッチャーのクレーンが降りてくる。
 まじで。
「ロイス・バード。うまく捕まえろよ」
「任せてください。私は、正確さが売りですから」
 降下を始める。
 ロイス・バードは、降下しながら、走っているアバランカー・セカンドを捕らえるべくクレーンを操作する。
 ガキ!
「うわぁ!」
「何だい。何が起こったんだい?」
「何かに捕まった。吊り上げられている」
 ロイス・バードが旋回を始める。
「ロイス・バード。向こうの海岸線に飛ばして、止めのミサイルだ!」
「了解」
 数回の旋回の後、ロイス・バードは、タイミングを見計らってクレーンを外して、アバランカー・セカンドを放り出す。
 そして、一発のミサイルを発射する。
「うわ〜〜」
「きゃぁ〜」
「うぉ〜〜」
 ドスン!
 アバランカー・セカンドが、海岸線に落ちた。
「やっぱり、こうなる、のね」
 ウーバンが言い終わると、ミサイルが当たる。
 ドカーン。ズガーン。ボカーン。
 お約束の、ドクロの煙が昇っていく。
 そして投げ出される三悪。
「絶対戻ってやるからな〜!」
「ヒッパクマン見てなさいよ〜」
「……」目して語らない、キリーカ。
 誰にも聞こえない言葉を残し、何処かへ飛んでいく。

 焼け野原となった町を眺め、イットキ・バードの上に立つイットキマン。
「終わった……。しかし……」
 感慨深げなイットキマン。

 一人孤独な戦いが、今終わった。
 一時の、一時の平和と幸せ守るため。
 イットキマンは、また現れる。
 おせっかいかもしれないが、俺に任せろ、この平和!
 何れまたどこかで、イットキマンは、いつも君のそばにいる。






第一話 完
縦書きで執筆しているため、漢数字を使用しておりますことご理解ください。
下記、名称をクリックすると詳細を展開します。
いちぢ まつた
伊知地 松太
身長/体重:170㎝/70㎏
学年/職業:伊知地機械工場の社長

 仕事では、優しくも厳しい、昔気質の職人と言ったところだが、頑固一徹になりきれないところが、松太の良いところでもあり、仕事上弱みになっている。
 イットキマンで使用したスーツの設計から独自に作り上げ、更に、BABまで作ってしまう、優れた才能の持ち主。
いちぢ ていし
伊知地 定子
身長/体重:160㎝/??㎏
学年/職業:専業主婦

 全てにのんびりしており、彼女の周りではゆったりと時間が流れているかのよう。
 多分、怒ったことはない。松太は、そこに惹かれたのかも知れない。
ヒロ
身長/体重:165㎝/68㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代後半)

 おとぼけな性格もあるが、仕事では常に全力投球している熱血漢。社員の中では、一番まじめ。
 自分で理解していなくても、作業してしまい、物を完成させてしまう、特技がある。
 今回のスーツと、BAB製造にもかなりの部分協力している。
ヒデ
身長/体重:165㎝/55㎏
学年/職業:松太の工場で働く中堅社員(30代前半)

 常に、言い回しが大げさで、まれに、遠回りな物言いをする男。
 仕事は正確だが、前述の性格があるため、不真面目に見えることが多々ある。損な性格である。
タカ
身長/体重:175㎝/70㎏
学年/職業:松太の工場で働く若手社員(20代後半)

 本人は、ぼける気がないのに、常にぼけをかまし、誘導尋問に弱い、かなりまじめな男。
 いわゆる、いじられキャラである。
イットキマン
 松太が作り上げたスーツを着用した、正義のヒーロー。
 一時だけ現れるヒーローであるところから、松太が、思いつきで名乗った(そう言えば、その辺書いてないですねぇ。)。
ウバンダー一味
 何でもかんでも奪い取っていくところから、付いた名前。奪うんだ〜=ウバンダー(安直すぎ?)。
ウーバン
身長/体重:165㎝/??㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの女ボス

 性格は、シリーズに準拠(う、手抜き)。
セイビー
身長/体重:170㎝/60㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーのメカニック担当

 何でも作ってしまう、すばらしい才能の持ち主。だが、どこか抜けているところもある。
 当初は、違う名前を付ける筈が、語感としてぴったりだったため、コンバートされこの名前になる(いい加減)。
キリーカ
身長/体重:180㎝/75㎏
学年/職業:三悪=ウバンダーの怪力担当(?)

 その怪力を見込まれて、バンバーに雇われた。が、ここまで付き合う予定はなかったはず。
 哀れなキャラ。
ざぶじゅーば
座舞ジューバ
 一戸建て、アパート、低層マンション等々が、乱立する、閑静な住宅街。
 その一角にある、町工場が主人公のいる場所。
バーブ
BAB=BigAirBan
 伊知地松太が作り上げた、大型のマシンである。
 後部には、伊知地松太の家を格納しているが、屋根が飛び出ている(弱点ですね)。
 その他、前部格納庫に、イットキ・ロイスを搭載する。

●推進力:圧縮エア。●燃料::酸素+水素(燃料電池)。●全長・全高・全幅:40m・10m・7m。●武装:前面にパルス型のレーザー砲●上部に多目的ミサイル・ランチャー。
ダミー個体
 伊知地松太とヒロが、徹夜で作り上げたセンサー砲弾。
 砲弾型で各種センサーを装備して、遠隔地のスキャンを可能とする。
 尚、センサーでスキャンするため、滞空させる必要があるのだが、この滞空には制限時間が存在する。小型であるが故に、短い。
ビーキュウ
 伊知地松太の製品第一号で、全高130cm、胴回り70cmのロボットなのだが、ビービー、緊急! 緊急! とうるさく、結局売り物に出来ず、自分の所で小間使いとして使っているのだが、結構文句を言う。
 用は、性能はすばらしく良いのである。うるさくなければ……。
 使用用途としては、機械の修理、人体などの熱源サーチ、お茶入れ、などなど使えるのだが、持った得ない。
イットキ・ロイス
 伊知地松太とヒロが作り上げた、車型のマシンである。
 ほぼ全てがコンピューター制御され、搭乗者の指示に従いつつ、最適な方法を割り出して行動するようになっている。
 また、音声により、復唱から助言、話し相手までこなす。この時代で考え得る最高の優れたAIコンピューターが搭載されている(松太の中での思い込み、と言う可能性はある)。

●推進力:圧縮エア/ジェットエンジン。●燃料:酸素+水素(燃料電池)/ガソリン。●全長・全高・全幅:5.5m・1.45m・1.5m/8.2m・1.56m・6.42m。●武装:左ドア:バルカン砲●マイクロミサイル・ランチャー/フロント左右にパルス型機銃を六門。下部にはクレーン。
アバランカー・セカンド
 セイビーが作り上げた、肋をモチーフとした中型のマシン。
 元々、巨大メカとの合体を想定しているため、マシン下部の中心に、接合部を兼ねた背骨がある。
 コックピットは、ほぼ中央にある。
 ホイールを使用することで、エア走行が不可能な場所でも走行が可能。

●推進力:高圧縮エア。ホイール一体型リニアモーター。燃料:酸素+水素(燃料電池)。●全長・全高・全幅:9m・1.8m・2.7m。●武装:後部にパワーキャノン●上部に多目的ミサイル・ランチャー。



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